小天下考

子安宣邦『天皇論-「象徴」と絶対保守主義』読了。

寄贈いただいた日から半月、毎日少しずつ、参考資料を参照しながら読み進めてきた。

『鼠小僧次郎吉』(1969年)のあさぼらけの王以来、これまで自分なりに追い求めてきた天皇論が、尊敬する思想史家の綿密な考証によって、ようやく整理され、納得できる落ち着き先を得たような心地がする。

本居宣長『直毘霊(なおびのみたま)』から坂本多加雄『天皇論』まで、小林秀雄、吉川幸次郎、荻生徂徠、津田左右吉、内藤湖南、内田樹、佐藤優などにふれながらの批判的検証は、同時代の東アジア世界史へのダイナミックな視点をともなって、われわれの近、現代を貫いてきた「絶対保守主義」思想の相対化に帰結する。

昨年五月、自分よりも十歳年長の子安さんが伴侶の松井久子さんとともに、ザ・スズナリに観劇にお見えになったときの喜びと緊張をあらためてかみしめる。


佐藤信の五行日記

小人閑居為不善 うつけもの ひまのまのまの だだあそび

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