稽古帰りに
いま、なぜ、『星の王子さま』なのか?
ことあらためて考えていたわけではないが、二週間後の初日を前に稽古を重ねる中で、手応えというか確信というか、少しずつはっきりとしてきたことがある。
ひと言でいえば、現実の世界に向かって、ここまで立ち戻って考え直してみなければ、なにも解決しないのではないか、という問いかけだ。
それは、原作者サン・テグジュペリが発した問いかけでもあるだろうけれども、いま感じているのは、シンプルな物語をこれまで読み継いできた人びとが、それぞれの場所でそれぞれの困難を前に発してきた、そしていまも発しているに違いない問いかけとしての切実さだ。
「君には五億の鈴(笑い声)、ぼくには五億の井戸(滑車の歌声と揺れる水)」、ニュース画面の向こうの悲惨な光景としてではなく、遠く、近く、ささやきかけてくる問いかけの切実さ。
波止場のひとり舞台2024 『星の王子さま』
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