初日目前
かつて(かれこれ半世紀前)、仲間たちと追い求めていたのは、大雑把にいえはふたつの時間論(直線的な時間と円環的な時間)の狭間に存在する舞台づくりだった。
根底には、当時の新劇が依拠していた近代的なヒューマニズムへの抜きがたい違和感があった。
そしていま、ぼくたちは、COVID-19をきっかけにあらわになった大いなる時間の停滞の現実に直面している。
白日夢の中に放り出されたような強圧的な感覚の中で、それでも劇場は執拗に虚構の時間を紡ぎ出そうとする。
エドワード・ボンドが「父」と「子=養子」の図式を借りて描き出す、過去的未来の時間の実相。
写真/梁丞佑
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